5. 嬉しい思い出を増やす――ステラセンスのリザルト画面
ステラセンス開発秘話、第5回は、マルチプレイのリザルト画面についてお話しします。
順位だけでは1人しか喜べない
ステラセンスのリザルト画面は、少し変わった作りになっています。総合優勝者が表示されるのは多くのゲームと同じですが、それ以外の順位は折りたたみ式の詳細に収め、代わりに「きらめき賞」「ひらめき賞」を大きく表示しています。

これには明確な理由があります。一言で言うなら、「ゲームを遊び終えて嬉しかった人を増やしたい」という思いです。
ステラセンスのマルチプレイは2〜8人に対応しています。そのうち、2人プレイは協力モードなので、順位を競うのは3人以上で遊ぶ場合です。同点優勝を除けば、総合優勝者は基本的に1人。仮に参加者全員が優勝だけを求めているとすれば、結果に満足できる人は、3人プレイなら約33%、8人プレイなら12.5%にとどまります。
もちろん、ステラセンスにはパーティーゲームとしての側面があり、勝てなくてもゲラゲラ笑って楽しめるゲームになることはあります。それでも、ゲームの中で「自分はうまくできた」と思える結果を持ち帰ることは、「また遊びたい」という気持ちにつながるはずです。そこで、優勝以外にも成功を実感できる見せ方を考えました。
総合優勝以外の成功も主役にする
ステラセンスのゲーム特性上、プレイヤー数を減らしたり、チーム戦にしたりして勝者の割合を増やすのは現実的ではありません。そこで考えたのが、2位以下の順位を大きく並べる代わりに、総合優勝とは別の観点で活躍したプレイヤーを大きく称えるという発想でした。
出題者として得たポイントが最も多い、総合優勝者以外のプレイヤーには「きらめき賞」を。回答者として得たポイントが最も多い、総合優勝者以外のプレイヤーには「ひらめき賞」を表示します。同点なら複数人が受賞でき、同じプレイヤーが両方の賞に選ばれることもあります。必ず3人が別々に喜べるわけではありませんが、総合順位だけを並べるよりも、「このゲームでは自分の表現力を発揮できた」「推理で活躍できた」と感じられる入口を増やせます。
優勝とは別の物語を持ち帰る
似た考えから、「特別称号」という仕組みも用意しました。ゲーム中に特定の条件を満たした場合だけ、リザルト画面に普段は現れない称号が表示されます。こちらは総合優勝者も含めて獲得でき、順位や得点とは違う軸で、そのゲームならではの成功を残すための仕組みです。
いくつかの称号は、短い説明を手掛かりに遊び方を変えることで狙えるようになっており、中には達成が非常に難しいものもあります。これは、Mark Rosewater氏の「物語的価値」という考え方に影響を受けています。Rosewater氏は、物語的価値を次のように説明しています。
後にその話をできるかどうかに基づいて人々が選択するというのは、興味深い概念である。これを「物語的価値」と呼ぼう。
さらに、ゲームに物語的価値を生む方法の一つとして、次のようにも書いています。
達成することが勲章になるようなほぼ不可能な課題を作ること
優勝できたかどうかだけでなく、「難しい星座を確信回答で見抜いた」「数多くの難題を描き切った」といった、そのゲームならではの出来事も持ち帰ってほしい。特別称号には、そんな意図があります。
これらの仕組みが意図通りに機能しているかと言われると、まだ反響がよく分からないところもあります。それでも、こうした工夫によって、1人でも多くの方がステラセンスを遊び、嬉しい思い出を持ち帰ってくれたらいいなと思っています。
ということで、ステラセンスのリザルト画面についてのお話でした。次回からは少し毛色を変えて、ゲームの仕様というより、開発手法やインフラ構成などの技術的なことを書いていこうと思います。