3. お絵描きクイズの「駆け引き」その2――エクストリームお題
ステラセンス開発秘話、第3回は、確信回答に続くもう一つの駆け引き要素「エクストリームお題」について書いていきます。
出題者側にも駆け引きが欲しい
前回の開発秘話で書いた「確信回答」の導入により、回答者側には駆け引きの要素を作ることができました。一方で、出題者側の駆け引きについては良い仕様を思いつけず、とりあえず開発を進めていきました。そして、そのままαテスト版、オープンβ版のリリースに至ります。
オープンβ版の公開後、友人たちがステラセンスで遊んでくれた際に、「一部のお題が難しすぎる」というフィードバックを受けました。私自身、開発中からかなり難しいお題があるという認識はありましたが、「3択のうち一つに変なお題が混ざっても、ほかを選べばよいし、難しいお題もそれはそれで笑えるだろう」くらいに軽く捉えていました。
一方で、非常にありがたいことに真剣に遊んでくれていた友人は、ぎりぎりのスコアを競っているときに、作画がほとんど不可能に思えるお題で3択の一つが埋まることに、フラストレーションを感じているようでした。
難しすぎるお題を消さずに活かす
意見としては理解したものの、難しいお題をすべて消すとなると、なかなか厳しいものがあります。そもそも星座として簡単に表現できるお題はそれほど多くありません。作画難易度の高いものをすべて消してしまえば、お題が早く枯渇し、一度見たものばかりになって、マンネリ化が早まってしまいます。
また、難しいお題をすべて取り除くと、「それは無理があるだろう」という笑いの要素も薄くなります。それでは、開発初期に思い描いていた「絵の得意な人も苦手な人も笑いながら遊べるゲーム」というビジョンまで弱まってしまう恐れがありました。
難しいお題を削ることなく、フラストレーションを和らげたい。相反する二つの要素をどう両立させるか考えた結果、「難しいお題を選ぶこと自体をリスクと捉え、そこにリターンを設定しよう」という発想に至りました。「エクストリームお題」の誕生です。

一つの仕組みで三つの問題を解く
エクストリームお題は作画が難しい代わりに、選択したラウンドでは出題者と回答者の得点がともに1.5倍になります。
この仕様なら、高得点を狙うために難しいお題を選ぶ理由が生まれるため、ゲームから取り除く必要がありません。同時に、前々から欲しかった出題者側の駆け引きにもなります。さらに、後半のラウンドになるとエクストリームお題の出現率が高くなるよう設定することで、自然な形でゲーム終盤の逆転要素を生むことができます。難しいお題を残すこと、出題者に駆け引きの要素を与えること、点差を覆す機会を作ること。この三つを一つの仕組みでまとめて解決できました。

任天堂の岩田聡氏は、宮本茂氏の仕事ぶりを振り返り、一つの発想で三つ四つの問題がまとめて解決するものが「いいアイデア」だと説明しています。ステラセンスの開発にとっては、エクストリームお題こそが、まさに複数の問題を一気に解決するアイデアだったのかなと、今になって感じています。
参考:ほぼ日刊イトイ新聞「第1回 アイデアというのはなにか?」
ということで、エクストリームお題の誕生秘話でした。次回はマルチプレイではなく、デイリーチャレンジについて書こうと思います。それではまた次回お会いしましょう。